クライアント企業からの質問頻度の高い米国税務に関する項目をいくつか御紹介させて頂きます。質問に対する回答は下記質問をクリックして下さい。
2004 年 7 月 1 日から新日米租税条約の源泉税に関する規定が発効しました。新租税条約で定められた日米間での軽減税率は下記のとおりです。
新日米租税条約では源泉地国課税が大きく軽減されたことから、濫用防止を目的とした特典制限 (Limitation on Benefits) の条項が盛り込まれました。結果として、この新条約の適用を受けるために必要な身分である日本企業又は日本居住者の定義が厳しくなり、それを満たす必要がありますのでご注意下さい。
本件について詳しくお知りになりたい方は当事務所の税務担当者までご連絡下さい。
新日米租税条約で定められている軽減税率の適用を受ける場合には配当、利息又は使用料の受取人は米国源泉徴収義務者に軽減税率の適用をフォーム W-8BEN という書式を使って依頼しなければなりません。支払人へ軽減税率適用の依頼を怠ると、米国源泉義務者は米国国内法の 30% を使って源泉徴収しなければなりません。
例えば、米国子会社が日本の親会社へ配当を支払う場合、日本の親会社はフォーム W-8BEN (Link) に必要事項を記入・署名の上、米国子会社へ支払日までに提出しなければなりません。また、フォーム W-8BEN を記入する際に米国連邦雇用者番号 ( 納税者番号 ) が必要になります。配当等を受け取る外国法人は事前にフォーム SS-4 という書式を使っては納税者番号を取得することが必要です。
軽減税率の適用を受けて米国法人から配当を受取った日本の親会社等の外国法人は、その外国法人の会計年度が終わってから 6 ヵ月後の 15 日までにその事実をフォーム 8833 と 1120F を用いてIRSに報告する義務があります。年間 50 万ドル以上の利息、使用料を受け取った外国法人も同様の報告義務があります。報告義務を怠った場合あるいは開示漏れがあった場合には、一件ごとに $10,000 のペナルティが課せられる場合があります。
米国での移転価格税制は内国歳入法第 482 条とそれに関連する財務省規則に定義されています。第 482 条には「同一の法人又は個人に直接又は間接的に所有又は支配されている 2 つ以上の法人又は事業間による取引 ( 関連会社間取引 ) の租税回避を防ぐために、あるいは各事業の所得を正しく反映させるために、税務当局 ( IRS ) は必要に応じてそれらの企業間の総所得を再分配することが出来る」と記されています。又、関連者間取引が第三者間取引 ( Arm's Length ) であるということを証明する義務は納税者側にあります。
典型的な例として、親子会社間の取引があります。
例えば米国にあるA社は日本の会社 ( P社 ) の 100 %子会社だとします。A社はP社から完成製品を輸入して米国市場で資本関係の無い顧客に販売しています。A社からP社へのこの取引は税法の定める関連会社間取引に該当します。
IRSはP社が子会社であるA社を資本構成上支配下に置いていることから、関連者取引を通じて利益を操作することが可能であると考えています。例えば、P社がA社に対する販売価格を上げることでP社の利益が上がり、A社の利益が下がります。A社の利益が下がるということは米国にとっては税収が減ることを意味しています。A社が米国での租税回避を意図していなくても、結果として第三者間での取引価格 ( Arm's Length Transaction ) と違うとIRSが認定すれば仕切価格の調整が行われ、追徴の対象となります。結果的に日米での二重課税になってしまうケースも少なくありません。
内国歳入法第 6662 条によるとIRSによる税務調査の結果として移転価格の調整が行われ追徴を受けた場合、一般的にはその追徴税額に対する罰課金 ( ペナルティ ) を延納利息以外にIRSに収めなければなりません。ペナルティの額は移転価格調整からくる額によって変わってきます。大まかに分けて移転価格ペナルティには次の2種類があります。
取引基準ペナルティ ( Transactional Penalty)
例えば、申告書上で課税所得の算出根拠となった関連者間の取引価格が税務調査の結果、妥当な取引価格の200%以上 ( 又は50%以下 ) であったと認定された場合又はには実際の移転価格調整からくる追徴税額の20%がペナルティとなります。更に上記率が400% ( 又は25%以下 ) となった場合にはペナルティが40%となります。 IRC §6662(e)(1)(B)(i)
ネット調整額ペナルティ (Net Adjustment Penalty)
さらに所得調整額の合計が納税者の総収入の10%又は 500 万米ドルのいずれか低い額を越える場合には20%のペナルティが課せられ、総収入の20%又は 1,000 万米ドルのいずれか低い額を超える場合には40%のペナルティとなります。
このペナルティを回避する方法として、移転価格スタディの同時文書化があります。IRSは各年度の税務申告書提出期限までに移転価格スタディを行い文書化することを納税者に求めています。通常、IRSが税務調査を開始する際に関連者間取引に関する移転価格スタディの提出をIRS調査官は求めますが、提出に応じられない場合にのみ上記のペナルティの対象となります。この移転価格スタディには移転価格算定方法とその採用理由、経済分析の説明等、 財務省規則で定められた項目が含まれていなければなりません。